美月と四郎は、ある噂を検証に洋館を立ち寄ってみると、 そこに明樹となのるフルート使いの青年と会った。 洋館の外は霧に覆われており、迂闊に外に飛び出すならすぐさま遭難フラグなので、 霧が収まるまで美月と四郎と明樹はいわくつきの洋館の中で一日過ごすはめになった。 洋館の中は薄汚くても、レトロなインテリアが飾られ頑張って掃除すれば、見事に美しい部屋に元通りになるだろう。 美月は部屋を掃除していると、明樹のフルートを見て明樹に聞いてみた。 「フルートですね! 明樹さんは、フルートの演奏が出来るんですか?」 明る笑みで聞く美月に明樹は思わず、少し照れた笑みを浮かべた。 「そりゃもう、演奏できるさ、じゃぁ……」 フルートから流れる美しい音色に美月はこごちよさそうに聞いていた。 音色にのって、廊下から音色が漏れその音楽を聞いて四郎は、ある事を思い出した。 自分いた昭和初期の時代に姉の葉月と一緒に演奏会で聞いた曲にも似ていたような気がした。 いや、気のせいかと思いつつ美月と明樹のいる部屋に入ってくる。 「四郎さん、どうでした?」 美月がそう微笑んで返すのに四郎は美月に視線を外し素っ気無く返した。 「どうもしない」 そんな四郎の態度を見て、明樹は疑問に抱いた。 この洋館で最初にいたときから、この得体の知れない包帯男こと椿四郎は美月にたいして、 冷たく素っ気無く返しているではないか、明樹は思わず四郎の方に視線を向け疑問を四郎にぶつけた。 「おぃ! あんた! 先から、そんな風に言わなくても、いいだろ!」 だが、ギリっと向けられた血のように真っ赤に染まった爬虫類の眼に明樹は思わずビビッた。 いや、その鋭い眼光から向けられるえらい殺気に明樹は一気におぞましさを感じたのかもしれない。 四郎はそんな明樹を数秒後見つめた後、窓の方に歩みだす。 (何だよ、あの人! 声をかけた途端に妙に殺気染みた目で睨みつけるし……しかし、 美月はよく、こんな優しくもねぇ、素っ気無い奴によく一緒にいられるよなー無理だろ、普通……) 明樹は普通に美月の若干天然ぶりが余計に不思議に思った。 確かに天然な発言もするがそこがいいのかなーっと、思い始めた。 「ところでさ、美月」 「はい、何でしょうか?」 「よく、あんな素っ気無い奴と一緒にいられるなー……普通、嫌じゃねぇーの?」 「お姉ちゃんの事は、嫌じゃありません!!」 美月に発せられた言葉に明樹は思わず驚きの声を上げた。 「お……お姉ちゃん……おぃ、嘘だろ……あの椿四郎は……お……女だったのかよっ!?」 「ち、違います!!お姉ちゃんと言ったのは、私のお姉ちゃんと四郎さんは何となく雰囲気が似ていたから…… その、四郎さんは立派な男性です!」 美月の発言に頭がこんがらがってきた明樹。 その美月の姉の神無月が四郎に似ているだのと、言うのだが明樹は美月の姉の神無月に会っていないので、 神無月と四郎がどこら辺が似ているのかけんとうがつかなかった。 そんな美月と明樹の姿を見ていたのか、今まで何も同じなかった四郎が急に立ち上がると美月の傍によった。 「おい」 低い声に明樹はじっと、四郎に視線を向けた。 「な……なんだよ」 明樹の視線の先には美月を庇うかのようなたいせいでいる四郎に、 事情を知らない人間が見たらこれは三角関係の火花かと勘違いされそうな光景である。 四郎は明樹の背後に視線を向けると、髪の長いワンピースを纏った青白い肌をした不気味な女が、 明樹をジィーっと、見つめているではないか。 背後から寒気が一気に襲ったので明樹は思わず背後に振り返ると案の定、その不気味な女と目を合わせた瞬間に絶叫をあげた。 何とも情けない光景の中で四郎は、素早くメダルを変形されると黒い大型拳銃を構え女に数発ほど撃ちこんだ。 劈く銃声の音とどうじに女の腹部に銃弾がめり込まれ、ギャッと悲鳴をあげ床に勢い良く倒れこんだ。 そんな光景を見て明樹は『幽霊に物理攻撃がきくのかよ』っと、突っ込みをいれると、 先ほどまで銃弾を浴びたのにも関わらず女はニタニタっと、不気味に笑みを浮かべるとブリッジのようなたいせいをとった後、 四股を虫のように蠢きながら明樹たちに突進してくるでは、ないか!? 四郎は咄嗟に背を低くすると、日本刀でありながら狭い空間をだと関わらず、素早い不気味な女の動脈を切断したではないか。 これも四郎が取得した香取神道流の一つの技にこのような背を低くしても、相手をうちまかす剣術があった。 無駄の無い動きに思わず見つめる明樹と美月だが、四郎は予想外にも相手の動脈をギリギリ寸前までかわされてしまったらしい、 女は蜘蛛のようにうねうねと四股を蠢くと、また明樹のように襲い掛かってきたではないか。 だが、明樹は間一髪でフルートを変換し、ブリッジ女の脳天をいっきにぶち抜いた。 グギャギャギャァァッァァッ!!!っと、人間味を発しない断末摩を上げながら、 女は四股をじたばたと虫のように蠢くとそのままじわじわっと、消滅した。 その数時間後、洋館の騒ぎを聞いた例の魔物コンビことたいおと扶川が滝のような涙を流しながら、絶叫した。 「ガディィィィィ――ムッ!!!! いわくつきの洋館が――また、ぶっ壊れてるじゃねーか!!ふざけんなよ!!」 別な意味で涙を流す空気読めないアホどもはさておき、美月は明樹と別れの挨拶をつげた後、また四郎の方へと駆け寄った。 そんな美月と四郎を見て、明樹はなんか入りこめない雰囲気だよなーっと、感じた。 それ以前に遠くからブツブツっと『近づくな……近づくな……』っと、四郎に嫉妬交じりの殺気を向けている黒い軍服を纏った女顔の美しい青年こと、 雨耶綾を見て、明樹はひと目でわかった。 これ以上、美月に関わったらあの嫉妬深い美青年に自分まで敵意を向けられるんじゃ、 ないかと思うと明樹は洋館であったブリッジ女より、そっちにゾッと妙な身震いをした。 |